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Column【コラム -琉球新報より 共に考える住宅デザイン-】

琉球新報より 共に考える住宅デザイン ― 金城 豊

vol.015 よい住まいの条件
コミュニケーションの力
 住宅をデザインするとき、日頃から心 がけていることは、見た目だけを優先 したデザインをするのではなく、家族の心のかたちや住む人の心を考えながら住宅をデザインすることだと思って いる。共に考えるというコミニュケ−ションを通してデザインするのである。

 何を欲しているのか?何を思い描いているのか?何が嫌いなのか?何が好きなのか?をお互いに話し合うことであり、時間をかけてゆっくりと打ち合わせを重ねながら信頼関係を築くことが住宅をデザインする行為だと考えている。住宅のデザインは全体のバランスを考えながら、住む人の生き方を反映した計画にすることであり、特定のデザインスタイルにこだわるのではなく、さまざまな角度から総合的に判断し、計画されたデザインが理想のデザインだと実感している。

  これからは、住む人の個性や感性を引き出し、その人生そのものを築き上げていくことのできる住宅をデザインにしていきたい。生活する空間のデザインを与えられた環境の中でいかし、日々繰り返していく日常生活の楽しさを室内だけで考えるのではなく、外部にも意識を広げてデザインすることが大切である。高価な材料を使わずに豊かな雰囲気が、生活に潤いを与えるような住宅デザインを心がけるべきである。
すまいとこころ
例えば、リビングを中心とした室内外の空間の一体化をぞんぶんに発揮するよ うな家は、完全にプライバシ−が確保さ れることは重要なことで、光や風が空間の中で反映されていなければならないのである。内部空間で生活する家族同士が感じる「距離」や人間と自然の間にある 「境界」をデザインする事が大切なので ある。

 開放性と閉鎖性のバランスが程よく併存し、グラデ−ションのある空間は、一旦分散化されつつ中庭を建具の開放によって再び居室と一体化する事が目的となり、敷地全体が庭であり居住空間でもあるかのような室内外が曖昧な空間として連続するのである。何気なく暮らしていく日々の生活の中では、住宅のデザインとか間取りとかなど敷地全体と家全体の存在など内外を意識する気持ちが無くなっていくような計画が良い住まいの条件だと考えている。そこに住む人が主人公となるような、健康的な家づくりを目指ことは最低限のデザインであり、健康的に生きて暮らすための家をつくることは、住む人の条件、希望を聞き、それをもとに地形や気候風土に合ったつくりを考え材料を検討するのである。
よい住まいの条件
 家のために人がいるのではなく、住む人の意向に応えて住宅はつくられるべきであり、住まい手の納得と喜びをつくることは、共に考える家づくりの理念だと考えている。住宅デザインの完成は終わりではなく、完成と同時に生活のデザインが始まるからである。

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